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【ダイエット脳を鍛える方法16】コレステロールの真実(5)

こんにちは。品川区目黒駅前「薬剤師の整体院YAJIMA」の矢島です。

 

 

いつもブログをご覧いただき誠にありがとうございます。

 

 

前回の「ダイエット脳を鍛える方法14」では、「LDLコレステロールそのものではなく、酸化された酸化LDLコレステロールとそれが小型化した小型LDLコレステロールが問題である」こと、「中性脂肪によって、LDLコレステロールが小型化されてしまう」ことをお伝えしました。

 

 

ダイエット脳を鍛える方法10「いい脂質、悪い脂質はどれ?」の中でも触れていますが、「脂質(n-3系脂肪酸・オメガ3)を摂ることで、どうして脂質(中性脂肪、コレステロール)が下がるのか?」不思議だと思いませんか?

 

 

今回はそのことについて迫ってみたいと思います。

 

 

結論的には、、、そのメカニズムは不明です。

 

 

と言ってしまうと、身も蓋もない感じですが、いくつか可能性は示唆されていますので、その説をご説明したいと思います。

 

 

【仮説1】中性脂肪が下がることによって、間接的にコレステロールも下がる

まず、一つ目の仮説は「n-3系(オメガ3)脂肪酸が中性脂肪を下げるメカニズム」についてですが、「中性脂肪が下がることによって、間接的にコレステロールも下がる」という可能性です。

 

 

 

n-3系(オメガ3)脂肪酸には血管をしなやかにして、血管を拡張させる作用があります 。

 

 

血管が拡張されると血流の流れが良くなる訳ですが、そうなると血液中の中性脂肪がエネルギー源として全身にスムーズに運ばれるようになり、エネルギー源として有効に活用されるため、血中の中性脂肪の値が下がるのではないか、という仮説です。

 

 

中性脂肪から全てのコレステロールが作られる訳ではありませんが、コレステロールの一部は中性脂肪から作られることは前回のブログでも述べた通りですので、中性脂肪の値が下がることによって間接的にコレステロール合成の一部が抑えられるということが、n-3系(オメガ3)脂肪酸の摂取によりコレステロールの値が下がるメカニズムの一つと考えられます。

 

 

では、なぜn-3系(オメガ3)脂肪酸の摂取によって、「血管がしなやかに」なるのでしょうか?

 

 

脂肪酸は細胞膜の原料として使われますが、n-3系(オメガ3)脂肪酸も当然のことながら、細胞膜の原料として使われることになります。

 

 

(分子栄養学から画像引用)

 

 

慶應大学医学部化学教室井上教授によると、「n-3系(オメガ3)脂肪酸は折れ曲がった形をしているので、血管壁にすき間ができて酸素や栄養が通りやすくなる。また、外からの力にも柔軟に対応できるようになるため、n-3系(オメガ3)脂肪酸の摂取によって血管がしなやかになるのではないか?」とのことです。

 

(肉の脂と違い、魚の油がいいのはなぜ?(日経ビジネス電子版)より画像引用)

*左図が通常、右図がn-3系(オメガ3)脂肪酸が細胞膜に入った時の構造

 

 

下の図を見ていただくとわかる通り、EPAもDHAも「二重結合」をたくさん持っているために「折れ曲がった」構造になるので、これが細胞膜に「隙間」を生む要因となると考えられているようです。

 

 

*EPAの構造(Wikipediaより画像引用)

 

 

*DHAの構造(Wikipediaより画像引用)

 

 

【仮説2】褐色細胞の数を増やし、中性脂肪の減少や体温上昇をもたらす

二つ目の仮説は、京都大学農学研究科のグループが動物実験で突き止めた成果ですが、「魚の油に含まれるEPAやDHAが脂肪燃焼細胞である「褐色脂肪細胞」の数を増やし、中性脂肪の減少や体温上昇をもたらす」というものです。

 

 

研究グループがマウスに高脂肪食あるいはEPA、DHAを含む魚油添加食を103週間与えたところ、魚油添加食を与えたマウスでは高脂肪食のみを与えたマウスに比べ、

 

・酸素消費量が増える(下図C)

・体温が上昇する(下図D)

・体重が 5~10%減少する(下図A)

・中性脂肪の蓄積が15~25%減少する(下図B)

 

という結果になった、ということが報告されています。

 

 

(Kim et al., Scientific Reports volume 5, Article number: 18013 (2015)よりグラフ引用)

*A図:体重、B図:腹部の中性脂肪の量、C図:酸素消費量、D図:直腸体温

*C:高脂肪食、LD:C+低用量DHA、HD:C+高用量DHA、LE:C+低用量EPA、HD:C+高用量EPA

*DHA、EPA添加により体重と腹部の中性脂肪は下がり、酸素消費量と直腸体温は増えるという結果

 

 

そしてこの論文で著者らは、EPAやDHAが交感神経や褐色細胞を活性化させることによって、これらの結果を引き起こしている可能性を示唆しています。

 

 

【仮説3】コレステロールや中性脂肪の消化管からの吸収と肝臓での生合成を抑制

一方、EPAは「エパデール」という製品名で、高脂血症の改善のために臨床で用いられています。

 

(持田製薬HPより画像引用)

 

 

この添付文書によりますと、「エパデール」というEPA製剤は、高脂血症患者において血清総コレステロールや血清中性脂肪を有意に低下させることが治験で認められており、その機序には(動物実験において)EPAがコレステロールや中性脂肪の消化管からの吸収を抑制したり、肝臓での生合成を抑制したりする効果に起因している可能性を示唆しています。

 

 

これが三つ目の仮説になります。

 

 

このように、明確なメカニズムについては不明なものの、いくつか考えられるメカニズムがあり、こうしたメカニズムが絡み合って、EPAやDHAといったn-3系(オメガ3)脂肪酸は中性脂肪やコレステロールを減らす効果をもたらすと考えられます。

 

 

「脂質(n-3系(オメガ3)脂肪酸)によって、脂質(中性脂肪、コレステロール)が減る」という謎の一部を解き明かしたことで、皆さまが安心してn-3系(オメガ3)脂肪酸を摂っていただく一助になれば幸いです。

 

 

適切な油を摂ることは、肌やホルモンの合成のみならず、腹持ちもよくなるため、ダイエットには欠かせません

 

 

この最後の「適切な油を摂ることはダイエットには欠かせません」という一文を伝えたいがために、脂質関係ではかなりの時間を費やすことになってしまいました。

 

 

長々としたシリーズでの説明にお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

次回はダイエットをする上で欠かせない「タンパク質」について少し触れたいと思います。

 

 

 

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